第七話 謝罪

      2019/07/21

義父「話を聞かせてもらおうか」

 

 

第六話 観念

 

奥さんの実家で、

 

義父と義母、僕の3人で居間の床に腰掛けた。

 

3人で話すのは初めてだ。いつも奥さんか、彼女の兄弟か、誰かしらいた。

 

初めて3人だけで会って話す内容が僕のナンパの話とは。

 

こんな事を話すために3人きりになるとは。

 

つくづく自分が情けなくなる。

 

義父が座布団に座るよう勧めてくれた。

 

義母がお茶をついでくれた。

 

・・・

 

申し訳なくて、

 

座ることも、

 

一口も飲む事も出来なかった。

 

 

「僕は・・」

 

「僕は・・・」

 

「・・・やってはいけないことを・・グスっ」

 

「・・・彼女に、」

 

「・・・・グスッ」

 

「・・・申し訳ないことを・・ヒクッ」

 

「・・・して、、しまいました」

 

 

自然と涙が溢れる。

 

ヒクヒクと嗚咽を漏らし、鼻水が垂れる。

 

呼吸が乱れる。苦しい。

 

涙と、

 

鼻水と、

 

息苦しさで、

 

少しづつしか言葉を発せない。

 

こんな状態は初めてだ。

 

大声で泣くことはできなかった。

 

泣きたかったけど、必死に抑えていた。

 

自分がやったことを2人にきちんと説明しないといけない。

 

2人の方が、僕よりずっとずっと、ツライのだ。

 

 

「・・・・申し訳ありませんでした」

 

 

もう自分の希望を言う資格なんかないと思った。

 

もうおしまいなんだと、

 

僕たちは離婚するんだ、という考えしか浮かんでこなかった。

 

 

「ぼ、、ぼくは・・・」

 

「彼女の言うことに、、グスッ・・

 

ヒクッ・・・・従います」

 

 

こう言うのが精一杯だった。

 

義父が

 

冷静に

 

そして

 

悲しそうに

 

ゆっくりと口を開いた

 

 

義父「・・・あの子は、もうお前と離れることを望んでいる」

 

「決心は・・・固いようだ」

 

僕は、ただ、黙って聞くしかなかった。

 

「お前、何か言うことはあるか?」

 

 

義父が、義母に尋ねる。

 

 

義母「・・・・養育費と慰謝料は払ってください」

 

 

義母は気が強く、ハッキリと物を言うタイプだ。

 

義父がお金の話や、僕を責める話がなかったことについて歯がゆく思っていたかもしれない。

 

そして、奥さんと同じ女性として、僕を許せないに違いない。

 

しかし、

 

やはり、今まで自分の娘の夫として、義理の息子として過ごしてきた過去を思い出したのだろう。

 

 

「あなたとはホントに仲が良かったのに・・・」

 

「ついこないだも楽しくあなたと電話していたのに・・」

 

「でも・・」

 

「あの写真を見たら・・・」

 

「もう、、

 

 

あなたを信じることができない・・・

 

 

義母は涙ぐんでいた。

 

僕は、こんなにも、周りを不幸にしてしまった。

 

大切な人たちを。

 

僕は家を出た。

 

ずっと泣きながら、歩いた。

 

とぼとぼと、歩いた。

 

駅まで歩くとかなり遠い。1時間はかかるだろう。

 

にもかかわらず、僕は歩いた。

 

何時間かかろうが、その時の僕には関係がなかった。

 

途中

 

悲しくなって

 

悲しすぎて

 

歩くことができなくなった。

 

動けなくなり、

 

道端でうずくまった。

 

うずくまって、泣いていた。

 

ただただ、泣いていた。

 

 

「パアアアアアアアンッッン!!」

 

 

すると後ろから、車のクラクションがなった。

 

誰かが車から降りてこちらに向かってくる。

 

泣きながら後ろを振り返る。

 

・・・そこに立っていたのは、義父だった。

 

 

義父「・・・駅までは遠いから」

 

「・・・・乗りなさい」

 

 

僕は、義父の思いがけない気遣いに

 

ただただ感謝した。

 

 

「あ、、、」

 

「あ、、、」

 

「、、、、ありがとうございましゅ・・・」

 

 

助手席に乗り、車内で

 

男2人で話をした。

 

 

義父「相手の女の人とは長いのか?」

 

 

妻からあまり詳しくは聞かされていないようだった。

 

それはそうだろう。悲しすぎて話したくもないだろうから。

 

 

「いえ、長くても3ヶ月とか半年とかです」

 

義父「・・・何人かいたのか?」

 

「・・・はい」

 

 

自分の娘がいながら、他の女と遊んでいた自分が憎くて違いないのに。

 

僕は、義父から怒鳴られることはなかった。

 

義母からも、なかった。

 

それがかえって、申し訳ない気持ちに拍車をかけた。

 

幸せを壊した苦しみが増幅された。

 

怒鳴り散らされ、殴られた方がまだ気が楽だった。

 

 

その日は実家に帰った。

 

実家に戻りづらい。

 

僕は、どこに行っても憂鬱だった。

 

 

父「どうだったんだ?」

 

僕は、全てを話した。

 

父「それで、お前はどうしたいんだ?」

 

「・・・離婚することに同意しました」

 

「バカヤロウ!!」

 

父親の怒号が響いた。

 

「お前はそれで本当にいいのか!!」

 

「・・・いやです」

 

「でも仕方ないよ。。」

 

父「いいや」

 

父「お前はやるべき事を」

 

「まだやってないだろうがぁ!!!!」

 

「本当は別れたくないんだろ?」

 

「だったら許してもらえるように出来ることを全部しろ!!」

 

「やってから諦めろ!!!!」

 

「やる前から諦めてるんじゃねぇ!!!」

 

 

父は、僕を見捨ててはいなかった。

 

・・・そうだ。僕は本当は離婚したくない。

 

・・・・出来る事をしよう。

 

僕は、翌日、奥さんにラインをした。

 

奥さんは、兄弟の家から実家に帰るところだった。

 

 

「会いたい」

 

「今日はもう無理だよ」

 

「会ってちゃんと謝りたい」

 

「もう実家に帰るから」

 

「お願いします。今向かっています」

 

 

僕は兄弟の家を知らない。最寄駅しか知らなかったが、とにかく向かった。

 

自分がストーカーみたいで嫌だった。

 

ストーカーに思われるのが怖かった。

 

でも、そんな事は言ってられない。

 

なんと言われても、カッコ悪くてもいい。

 

出来る事をするしかない。

 

自分から行動しないと始まらない。

 

自分が撒いたタネだ。

 

誰も助けてはくれない。

 

自分に言い聞かせた。

 

駅に着いて、電話をした。

 

電話には出なかった。

 

 

「駅に着きました。どうかお願いします」

 

 

ラインを送った。

 

引き続き、何回も電話した。

 

呼び出し音が虚しく鳴り続ける。

 

しばらくすると、彼女が電話に出てくれた。

 

 

「もしもし」

 

「・・・」

 

「今、駅の近くにいるよ」

 

「・・・もう実家に車で送ってもらってるの」

 

「そうなんだね、、、少しでいいから謝らせてください」

 

「・・・今日は無理。」

 

「また今度会うようにするから」

 

「・・・・そっか」

 

「・・・わかった」

 

「・・・うん」

 

「・・・またね」

 

「うん・・・バイバイ」

 

 

翌日、僕は再び彼女の実家に向かった。

 

最寄駅を降り、バスに乗って向かった。

 

電車、バスの中から外の景色を眺める。

 

緑豊かな森、のどかな田園地帯。

 

いつもなら心が和む光景だ。

 

でも・・・・今は何も感じなかった。

 

何も考えられなかった。

 

無だった。

 

バス停を降りて、奥さんの実家にまっすぐ向かうことが

 

・・・・できなかった。

 

動悸、息切れが激しくなった。

 

「離婚をしないでくれ」

 

このお願いをする事が、物凄くツラかった。

 

相手は慰謝料などのお金の話をしにくると思っているのだから。

 

離婚前提の話だから来てもいいと言っているのだから。

 

・・・彼女の家に行けない。。。

 

通り道に、小学校があった。

 

僕は、小学校の周りを回った。

 

何周も

 

何周も

 

家に向かう勇気が出なかった。

 

時計を見た。

 

30分以上は経過している。

 

 

「・・・・行こう」

 

 

腹を括って、家に向かい、玄関のブザーを鳴らした。

 

家には、奥さんと義母がいた。

 

僕は、単刀直入にお願いをした。

 

 

「この前は離婚すると言いましたが・・・」

 

「・・考え直してもらえませんか」

 

「もう一度、やり直したいんです」

 

言い終わったあと、

 

恐る恐る、2人の表情を見た。

 

 

「・・はあ??」

 

 

奥さんと、義母の表情が、

 

豹変した。

 

続く。

 

 

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