第二話 発覚

「あなた、正直に話して。
私は、あなたが思っている以上に、
あなたが隠している事を知っているのよ」
その日は、いつもの日常と変わらない、何の変哲も無い朝だった。
僕はスマホの目覚ましの音で目が覚めた。
当時スマホ機種変したばかりで、以前使用したスマホを目覚まし代わりにしていた。
僕はスマホを止めるために辺りを見回した。
・・・
ベッドのどこにもない。妻と子供はまだ寝ている。
どこか遠くの部屋でなっている感じだった。
そうだ、昨日は僕は部屋の外にある玄関に置いていたんだっけ。
玄関に向かう。
・・・スマホがない。
どこか別の場所から聞こえてくる。
・・・何でだろう?
とにかく、音のありかを探す。
別の部屋から聞こえているようだった。音の鳴る方向へ向かう。
・・・あれ、何でここから音がするんだろう。
音が鳴る場所を見つけた。
・・・それは、妻の化粧ポーチの中からであった。
・・・なんで??
しばらくは眠くて頭が回らなかった。だが、だんだん目が覚めるに連れて、事の重大さに気づいた。
妻は僕のスマホの中身を見ている。。。
当時のスマホには、ナンパした子とうつった写真が内臓のSDカードに入っていた。それを抜き取って他のデバイスで見れば、パスワードロックを解除しなくても見れるのだ。
僕は急いでスマホの裏を開けた。
・・・SDカードは抜き取られていた。
妻はナンパに関する写真を見ている。再度確信した。そして実家に帰って見せるつもりだ。
一気に胸の鼓動が早くなっていった。
なんて言い訳をしよう。必死に考えた。
落ち着け、よく考えろ。
当時は、絶対に認めては行けないと考えていた。
SDカードには写真のみでラインのやりとりは入っていない。
写真もカラオケや居酒屋の写真だ。キスしてそうな写真があるがハッキリとはうつっていない。
写真を撮ったその場に他の人もいたと言い張ればいい。
よし、それで行こう。
妻は、僕が古いスマホを目覚まし代わりにしていることを知らなかった。だからスマホを隠しても気づかないと思ったのだろう。
危なかった。
しばらくして、妻が起きてきた。
「おはよう」
いつもと変わらない、眠そうだったが穏やかな表情だった。
僕はすぐに切り出した。
「僕のスマホ、どうして君の化粧ポーチに入ってるの?」
・・・切り出した次の瞬間、さっきまで穏やかだった妻の表情が一変した。
そして、次に妻が発した言葉は
「あーあ。失敗した。
見つかっちゃったかあぁ」
その言い方は、いたずらが見つかった子供が白状するような
そんな生易しいものではなかった。
例えるならば、彼女の表情と話し方は、まるで殺人事件のテレビドラマで一番仲のいい、信頼の置ける人物が
実は真犯人で、証拠を突きつけられ、開き直った時の表情であった。
「見たの?中身」
「見たよ」
「あれは他の人もいたんだよ」
「ふーん」
・・
・・・
・・・・
次の瞬間、妻は何かを決心したような表情でこう言った。
「あなた、正直に話して。
私は、あなたが思っている以上に、
あなたが隠している事を
知っているのよ」
その言葉を聞いて
僕は、凍りついた。
続く。
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